ランチと夜は、考え方がまったく違います。小さな店では、ランチをやらないという選択肢も必要です。
現場で見てきたこと
ランチと夜は、考え方がまったく違う
ランチのお客さんは、すぐ出てきて、すぐ食べて、すぐ帰りたいと思っています。だからランチは回転が重要で、かなり体力勝負になります。
お昼と夜とでは、それくらい考え方が変わってきます。昼からお酒を飲むコンセプトのお店で、長時間淡々と運営していくのであれば、話は別です。
ランチをやらないという選択肢
ランチは、とにかく数をこなさないといけません。そこに人件費がかかり、体力のコストもかかります。そもそも小さな店は、お客さんをそんなにたくさん入れることができません。
たとえば、ランチが1人1,000円で、1日に20人来たとします。
ランチ1日分:1,000円 × 20人 = 20,000円
売上は2万円です。ここに人件費が乗ると、利益はほとんど出ません。ランチは、そんなに利益が出ないケースが多いです。
それでもランチをやる意味は、食材を回すこと
では、なぜランチをやるのか。一番の意味は、食材を回転させることです。
飲食店は生ものを扱っています。何日も冷蔵庫に入れておくわけにはいきません。だから、ランチで食材を回転させて、夜は高く売る。そうすることで、新鮮でおいしいものを、常にお客さんに出すことができます。
ランチをやるうえで一番のポイントは、ここだと思います。
データで答え合わせ
ランチはやらない選択肢もある。意味は食材を回すこと
判定:裏づけあり(夜型のお店なら)
マネーフォワードの解説(2025年)によると、ランチの客単価は一般に800〜1,000円です。利益率の目安は約10%ですが、食材費と人件費がかさむランチでは、これを下回ることが多いとされています[1]。
同じ解説で、ランチのメリットとして最初に挙げられているのが、「夜に余った食材をランチで使えば、原価率が改善し、食品ロスも減る」ことです[1]。食材を回すためにランチをやる、という現場の話とそのまま重なります。
先ほどの1,000円×20人=2万円に、業界の目安(原価率30%・利益率10%)を当てはめてみます。食材費は約6,000円で、利益は約2,000円にしかなりません[1]。
お客さんの少ないランチは、オーナーや家族の時間も含めた「1時間あたりの売上」が、ひどく悪くなりやすいという中小企業診断士の指摘もあります(2024年)[2]。また、夜の値段が高い割烹や寿司店がランチを続けているのは、高い食材を無駄にしないため、という指摘もあります(2018年の記事)[3]。
やめどきのサインとして挙げられているのは、スタッフの疲れや離職、夜の仕込みがおろそかになること、安いランチがお店の印象とずれてしまうことです。やめるなら、1か月以上前にお客さんに告知するよう勧められています[1]。
補足
ランチの意味は、食材を回すことだけではありません。昼にしか来ない人にお店を知ってもらえる、夜の「お試し」になる、という面もあります。
また、カレーのような単品のお店では、逆にランチが主戦場です。ランチで10回転以上するお店もあります(2020年)[4]。土日祝の早い時間から飲む「昼飲み」も伸びています[5]。
なお、「ランチをやめるお店が増えている」ことを示す全国の調査は見つかりませんでした。
まとめ
夜が中心のお店なら、ランチをやらない選択肢は十分にあります。やるなら、利益を取りにいくというより、食材を回して夜においしいものを出すため、と考える。ランチで疲れて夜の仕込みがおろそかになるようなら、やめどきです。
出典
- マネーフォワード「飲食店のランチ営業」
- PRESIDENT WOMAN Online(2024年11月)
- 東洋経済オンライン(2018年)
- マネーポストWEB(カレー店の収益、2020年)
- 日本食糧新聞(2025年9月、昼飲み)